
グローバル企業向け保険の選択肢を理解する
インターナショナル・プログラムのメリットとは?
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すべてのグローバル企業がインターナショナル・プログラムを必要としていますか?それはビジネスおよびオペレーションのタイプによります。一般的に、本拠を置く国以外の国々にも拠点を持ち、事業活動を行いエクスポージャーがある場合、インターナショナル・プログラムを検討する必要があります。世界中に複雑な製造拠点ネットワークを持つ製造業、様々な国で宿泊施設を展開する国際的ホテルチェーンなどがその例です。
貴社のニーズを絞り込むために役立つ質問には以下のようなものがあります。
- 海外に子会社がありますか
- 世界各国にオフィス、工場、組立施設、サービス部門を持っていますか
- 拠点は一カ所のみ、但し海外市場でも販売している場合、どのような販売契約を設定していますか
- 賠償責任は国内に限定されていますか、または海外でも適用されますか?
上記の質問に対する答えは、貴社の世界的な保険補償ニーズを特定するのに役立ちます。その上で、リスクマネージャーは保険の選択肢を理解する必要があります。
では、リスクマネージャーがグローバルグループ全体のリスクエクスポージャーを管理する方法にはどのようなものがあるでしょうか。
方法 1: 個々の子会社を個別にカバーするため現地で保険を手配する
事業を拡大する際、各子会社が保険カバーを手配することは一般的であり、リスクマネージャーも子会社に各自で保険を管理させたいと考えるかもしれません。確かにこの方法の場合、子会社の自主性が増しコストが抑えられるかもしれませんが、将来的に問題が生じる可能性もあります。特に子会社の数は増えるほどその可能性は高くなります。
各市場で保険を手配する際に問題となるのは、グローバルオペレーション全体で同レベルの補償を確保することがほぼ不可能であるということです。加えて、市場により補償の範囲が異なるため、どの保険契約がどのような補償を提供しているか全体像を把握するのが困難になります。貴社のグローバルオペレーション全体を通じて一定の基本的補償を必要とする場合、これは非常に大きな問題となり得ます。さらに、個別の現地契約で補償を調達している場合、グローバルレベルで保険金支払請求データ (支払コスト/保険料、保険金請求データ、補償範囲等) をトラッキングすることも大きな挑戦となります。
現地で個別に保険契約を手配している場合の別の課題として、世界規模で保険金支払請求および請求履歴を可視化することの困難さが挙げられます。これは、世界全体で支払ったコストおよび保険料についてのデータを入手することが難しいためです。また、個別保険証券すべてに共通したリスク管理および低減戦略を導入することも難しくなるため、企業全体としてのリスクプロファイルを改善することにより保険会社から有利な料率を引き出すというメリットが得られなくなります。
方法 2: インターナショナル・プログラム - マスター証券に裏付けられたローカル証券
最も柔軟性が高いのはインターナショナル・プログラムであり、通常、本社の所在地で締結したマスター証券と現地で締結されたローカル証券により構成されています。
グローバル保険会社が貴社のエクスポージャーを評価し、貴社と協議の上コンプライアンスを確保したプログラムをデザインします。このプログラムは、貴社のエクスポージャーまたは要件に応じ、現地の提携保険会社が発行するローカル証券により構成されます。エクスポージャーが小規模である場合、付保規制のある国ではマスター証券下で補償を提供するか、経済的利益補償としてカバーするケースもあります。また、グローバル保険会社は、現地の専門家ネットワークを通じ、保険金請求およびその他のサービス (ローカル保険証券、リスクエンジニアリングサービス等) を提供するためのパートナーを確保しています。
グローバル・プログラムを提供する保険会社は、世界各国で保険事業認可を取得しており、認可を持たない国では現地の提携保険会社と協働してローカル証券を提供します。
ローカル証券の補償内容または限度額は様々であり、そのギャップを埋め世界で共通の基準を維持するためにマスター証券が存在します。マスター証券は各国のローカル証券のバックアップとして、補償内容の差(DIC) や支払限度額の差(DIL)を補完する機能を持ちます。経済的利益補償(FINC)は、付保規制が厳格な国においてローカル証券によるDICおよびDILをマスター証券で補填し親会社に対して保険金を支払うものです。FINCにおける損害額とは、ローカル証券を持つ子会社が、マスター証券から補償を受けられると仮定した場合に支払われるべき額と同額と定義されています。
インターナショナル・プログラムは各国の法規制を遵守する必要があるほか、プログラムを構成する証券の条件が可能な限り統一されていることが理想です。インターナショナル・プログラム全体で保険条件を統一するための好例の一つとして、契約条件をグローバル・スタンダードに統一することが挙げられます (スイスリー・コーポレート・ソリューションズがご提供する財物保険プログラムのためのONE Form 証券を含む)。
インターナショナル・プログラムを構築することは、現地の要件および法律への遵守を容易にする第一歩です。マスターおよびローカル証券で一貫性のある文言を使用することで、世界のどこでプログラムが発動してもどのような補償が提供されるかが分かっているため安心です。
スイスリー・コーポレート・ソリューションズ、インターナショナル・プログラム アメリカズ、ヘッド ウィリアム・ポーター:
「インターナショナル・プログラムを導入する中小・中堅企業が増えてきています。インターナショナル・プログラムには、補償の効率・効果の改善に加え、保険業界で起こっているデジタル化の利点を活用できるというメリットがあります。自社のリスクを低減したいリスクマネージャーにとって、インターナショナル・プログラムは世界規模の複雑な保険リスク管理を容易するために活用できるツールです。」