リスクソリューションを共同で展開するための連携

「スイス・リー・コーポレート・ソリューションズにおいては、お客様との密接なパートナーシップによってリスクソリューションを展開する際、お客様の業界にしっかりと焦点を当てるよう努めています」とRisk Engineering Services EMEAのマネージャーであるPhilip Brandlは語っています。

今日のサプライチェーン・ネットワークは複雑かつグローバルにして極めてダイナミックなもので、多くの企業は生産プロセスのリスクとその相互依存性を理解するように努めています。このことは特に自動車業界において当てはまります。自動車メーカーの最終組立ラインは多数の一次部品メーカーに依存していることが多く、こうした部品メーカーにもさらに二次・三次の外部サプライヤーがあります。リーン生産方式ではコンポーネント工場と呼ばれる重要なハブを設置しており、これによって幾つかの最終組立ラインが同時に停止させられる可能性があります。 

「例えばドイツの自動車会社に着目してみると、これらのメーカーは合計で年間約1,600万台の自動車を生産していますが、そのうちの約1,100万台が海外で生産されています」とBrandlは語っています。

サプライチェーンで最も脆弱な部分は、中国を中心とするアジアなど自然災害のエクスポージャーが高い地域に所在していることがよくあります。利益率が高い製品は北米で生産され、そこから世界各地に出荷されています。洪水、台風あるいは海岸地域のハリケーンなどは、サプライチェーンの寸断という、既知ではあるものの定量化が難しい付加的なリスクをもたらします。積み出し港やその他の輸送手段への依存は重要な懸念事項となり、リスクマネージャーおよびそのチームにとっての不確実性要素に加えられます。

「損害防止の焦点は、火災や爆発への対策から、サプライチェーンにおける一連の流れが寸断されないように維持・管理することにシフトしています」とBrandlは付け加えます。

巨額の損失

このような製造業の混乱に伴うコストは甚大なものとなることがあります。「最大規模の最終組立ラインでは毎日3,000台以上の自動車を製造しており、一日に数千万ドルもの価値が危機に晒されていると考えることもできます」とBrandlは語っています。

「首尾良く火災を消し止める、あるいは機械の故障による損失の場合はパーツの修理や交換で対応することができるかもしれませんが、操業を再開するためには、数日間の事業中断が発生する可能性があり、通常の損失が5,000万ドルから1億ドル、あるいはそれ以上発生する可能性があります。その結果、現在の自動車業界においては、免責金額の設定に対して多くのプレッシャーがあることが1つの大きな流れとしてあります。」

損害防止の新たなアプローチ

自動車業界が直面しているサプライチェーンの複雑性については、外部サプライチェーンに加えて内部サプライチェーンの特徴によっても一段と複雑さが増しています。

製造業の企業は一般的に、様々な部品を製造するサプライヤーを世界各地に抱えており、このことは外部の商品の流れも深刻な混乱のリスクに晒される可能性があることを意味しています。2011年に起きたタイの洪水では、スイスの国土に匹敵する面積が洪水に見舞われましたが、このようなイベントによって、今日のサプライチェーンがいかに脆弱なものであったかが示されました。

しかしながら、内部ネットワークも重大なリスクをもたらします。日々発生しうる局地的なイベントであっても大規模な混乱がもたらされる可能性があります。これが真実であると示されたのが2018年でした。この年、あるサプライヤーの工場で起きた爆発事故は自動車業界を大きく揺るがし、同時に幾つかの主要メーカーは最終組立ラインを停止することになってしまいました。この事故は、外部サプライヤーが利用できるリスク移転のキャパシティに対して大きな圧力をかけることになりました(偶発的事業中断(CBI))。 

内部サプライヤーと外部サプライヤーの区別は今や曖昧になっていると考えられます。外部サプライヤーに対しても、損害防止対策については内部と同じレベルで実施する必要があり、そして同程度の補償を設定する必要があります。
Philip Brandl, Manager Risk Engineering Services EMEA, Swiss Re

Brandlは次のように説明します。「内部サプライヤーと外部サプライヤーの区別は今や曖昧になっていると考えられます。外部サプライヤーに対しても、損害防止対策については内部と同じレベルで実施する必要があり、そして同程度の補償を設定する必要があります。

「内部と外部のサプライヤーの区別がこのように曖昧になっていることで、リスク移転のキャパシティにかかる技術的な需要が生まれており、10億ドルを超えるプロテクション・ギャップがもたらされています。保険会社は累積したエクスポージャーを慎重に統制・管理する必要があるため、このプロテクション・ギャップは損害防止の新たなアプローチによってのみ改善させることができるのです。」

リスクの削減

Brandlはまた次のように述べています。「これを達成するためには、サプライヤーおよびその所在地に関するリスクレポートが取り交わされ、リスクマネジメントに対するより戦略的なアプローチを図ることが必要となります。しかしながら、これには課題がない訳ではありません。特にサプライチェーン全体の機密性に対して該当することがあります。すべての企業の間で信頼関係が構築されている必要があり、誰がデータを所有し管理しているか、どのような情報が使用されているか、等について十分な透明性が確保されている必要があります。

そして、Brandlは次のように結論付けています。「最初のステップとして、さまざまな制約に対して直接的なアプローチを推進し、これらのサプライヤーに対する法的権利と法的義務をどのようにして遵守するかのソリューションを探り出すことに加えて、サプライチェーンが実際のところどれだけの強靱性を有し、どれだけ信頼に足るものであるのかについての情報を提供する必要があります。」

「また、情報の提供をうまく行うことも必要です。実際に透明性を確保するためには、データを用いて何を行っているのか、データが最終的にお客様にとってどのような影響をもたらすのかについて伝える必要があります。」

「私達が念頭に置いているのは、最終的には継続的なプロセスを構築して、意見交換などを年に1回に限らず定期的に行うことです。このために、私達は、データを安全かつ継続的に明確な目的をもってやり取りすることができるプラットフォームソリューションに取り組んでいます。」

「私達はグローバルサプライチェーンにおける重要なリスクを特定し、これらの複雑なリスクを軽減する戦略を展開するために、お客様と一層の協働を図っていきます。私達スイス・リーではグループ一丸となって全力で実行して参ります。」

初版はStrategic Risk より2020年11月30日に発行

当社リスク・エンジニアリングについてはこちら をご参照ください。

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