東南アジアにおける再生可能エネルギーの次の巨人

この地域で最も急速に経済成長を遂げている国の1つであるベトナムは、新型コロナウイルス感染症の大流行中にも経済の回復力を示してきました。ベトナムは2019年に、堅調な内需と輸出向け製造業により、前年同期比で約7%というGDP成長を達成しました。2020年初頭にはGDPが大幅に低下しましたが、2021年には大幅な回復が見込まれています。

人口動態と社会の急速な変化、経済成長および工業化に伴い、同国の電力消費量は3倍にまで増加しています。2019年の人口は9,650万人で、2050年までに1億2,000万人に達すると見込まれます。消費量が生産量を上回るまでに増加しているため、再生可能エネルギーやガスタービン発電への移行が喫緊の課題です。

ベトナムの成長ストーリー

世界銀行によると、「ベトナムの奇跡的な成長」は貿易自由化、国内の規制緩和、事業コストの削減、インフラおよび教育投資(人口の半分が35歳未満)により達成されました。日本や韓国の電子機器メーカー、ヨーロッパやアメリカの衣料メーカーがベトナムに進出しています。

2017年、ベトナムはこの地域最大の衣料品輸出国となり、電子機器の輸出でも、シンガポールに次いで第2位となりました。1986年から2018年の期間にベトナムの一人当たりGDPは10倍に増加し、中産階級グループは人口の26%を占めると見込まれています。

電力需要の増加を受けて再生可能エネルギー投資が増大

政府によると、ベトナムの電力消費量は、2019年の55GWから2022年末までには70GWに増加すると予測されています。この著しい増加は都市化、工業化および富裕層の増加によるものです(出典:フィッチ・レーティングス)。ベトナムでは、2025年までに石炭ベースの発電をエネルギー・ミックスの55%にまで増やす計画です。しかしベトナムは、石炭火力発電所の建設と並行して、再生可能エネルギー技術の導入を推進しています。

再生可能エネルギーについては、ベトナムには素晴らしい天然資源があります。1平方メートル当たり4〜5キロワット/時の日照、そして秒速5.5〜7.3メートルの風が常に吹く3,000キロメートルの海岸線です。

石炭依存をうまく抑えるには、2030年までに39GWの風力発電能力と61GWの太陽光発電能力を導入する必要があります(出典:マッキンゼー)。再生可能エネルギー源への投資を促進するため、ベトナムは202111月までに送電網に接続するプロジェクトに対して、魅力的な固定価格買い取り制度(FiTFeed-in-Tariff)を導入しました。時間枠の延長も検討される一方、送電網に過負荷とならないかという懸念もあります。これらのインセンティブは関心を引き出し、それまで保留されていた多くの風力および太陽光プロジェクトの開発につながると予測されます。

成長に伴う課題

現地の開発業者や金融機関はこの機会に魅力を感じていますが、再生可能エネルギープロジェクトの経験が不足している可能性があります。そのため、タイとオーストラリアからも(中国を通じて間接的に)設備投資が投入されています。一部の業者は健全なプロジェクト評価プロセスを導入していますが、それ以外では、コストだけが投資の最適化基準とされていると思われる例もあります。

外国の業者は、ベトナムの状況、特に気候、産業組織、現地の行政プロセスに精通していないこともあります。

  • 気候:一部の地域は台風の影響を受けやすく、強風や豪雨に襲われることもあります。風は、再生可能エネルギー発電施設の建設と運営に課題をもたらす可能性がありますが、必要な予防措置を講じていない場合、洪水により建設スケジュールに遅れが発生し、貯留設備が損傷する可能性があります。
  • 産業組織:設備については、現地の陸上請負業者が先導して、ベンチャーとして海上施設を建設することがありますが、これは独自の課題を生み出す可能性があります。例えば、海上タービンの組み立て中にクレーンを運搬するはしけに事故が発生し、ほぼ転覆したことがあります。
  • 行政とのやりとり:必要な許可を取得するプロセスには時間がかかることがあり、現地以外の業者は、適切な許可と必要な承認の確保までにかかる時間を過小評価してしまう可能性があります。

以上の課題は、現地のリスク管理ノウハウ、ならびに必要に応じて保険会社や再保険会社の迅速な介入の必要性を示唆しています。現地または地域の保険会社や再保険会社は、新たに発生した未知の問題に対処できるよう、広範な知識と経験を備えている必要があります。

技術的課題

風力技術と太陽光技術は比較的新しいものです。機器のサイズが大きくなり、効率が向上するのに伴い、保険会社はプロトタイプ(または比較的最新の)機器に直面する可能性があります。

主に風力タービンとブレードが注目されますが、二次的エクスポージャーが発生すると、多大なコストが発生することがあります。

海洋作業の実施法を技術的に徹底検証し、海上風力タービンや浮体式ソーラーパネルにマリン・ワランティー・サーベイヤー(MWS、Marine Warranty Surveyors)を採用すると、事故防止に役立ちます。MWSは、現場で保険会社の「目」として、重要な役割を果たします。また、タービンブレードが現地の状況に即して適切に承認/認証されるように、認証機関と対話することも重要です。

リスクと保険ソリューション

スイスリー・コーポレート・ソリューションズは、再生可能エネルギープロジェクトのリスク防止に関して、業界固有の知識を有しています。当社は世界各地の業界フォーラムや標準化委員会に参加して、規制基準の遵守に関する最新の知見と情報をクライアントと共有できるようにしています。

当社の再生可能エネルギーチームは、メーカー、認証機関、公共団体、マリン・ワランティー・サーベイヤー(MWS)などの業界関係者と良好な関係を維持しています。業界全体とのつながりを通じて、お客様にエンドツーエンドのリスク軽減および保険ソリューションを提供しています。

要約
結論として、当社では、現地および地域の知見と専門知識をさらに発展させることが最も重要であると考えています。これは、請負業者、所有者、金融機関など、このセクターの主な関係者すべてに当てはまります。現時点では、装置と知識のほとんどがヨーロッパと米国から提供されています。しかしアジアには、産業構造、自然災害エクスポージャー、言語、文化などの面でさまざまな異なるパターンがあります。

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