引火性・可燃性液体の取扱いについて

引火性・可燃性液体は、医薬品、塗料、化粧品、衛生用品、洗剤などを製造する過程などで幅広く使用されています。引火性・可燃性液体は容易に着火するため、火災および爆発を引き起こす危険性があり、その結果として重大な財物損害や事業中断につながる可能性があります。その場合、残念ながら人命に関わる事故となってしまうことも多くあります。

適切な損害防止対策を講じるために、どのような種類の引火性・可燃性液体が現場にあるかを常に把握しておくことが重要です。

引火性液体と可燃性液体の違いとは?

消防法では、引火性液体は危険物第四類に指定され、下表のように定義されています。なお、本資料は、全米防火協会NFPAによる規定等を主に参照して作成しております。

特殊引火物

ジエチルエーテル、二硫化炭素その他一気圧において、発火点が100℃以下のもの又は引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のもの

第1石油類

アセトン、ガソリンその他一気圧において引火点が21℃未満のもの

アルコール類

炭素の原子の数が一個から三個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む。)

第2石油類

灯油、軽油その他一気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの

第3石油類

重油、クレオソート油その他一気圧において引火点が70℃度以上200℃未満のもの

第4石油類

ギヤー油、シリンダー油その他一気圧において引火点が200℃以上250℃未満のもの

動植物油類

動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したものであつて、一気圧において引火点が250℃未満のもの

引火性・可燃性液体の火災・爆発危険

引火性液体自体が発火して火災や爆発を引き起こすと誤解されることがあります。実際には、着火した液体から発生する可燃性蒸気に起因します。開放型容器の場合や漏洩が起こった時の場合、これらの可燃性蒸気は、地面に沿ってドアの下さらにはダクトを横切るなどして遠くに移動し、発生源から離れた場所で発火する可能性があります。密閉空間の中で十分な量の可燃性蒸気が蓄積した場合に着火すると、爆発する恐れがあります。

火災および爆発の危険性があるため、生産プロセス等で使用する引火性液体の取扱いには細心の注意を払う必要があります。可燃性液体も引火性液体と同様の性質を示すため、引火点以上の温度に加熱された場合には同様のことが当てはまります。本資料において、「引火性液体」という用語は、その引火点以上に加熱された可燃性液体のことを指すこともあります。

火災・爆発リスクを回避するための損害防止対策

  • 着火源となり得るものを除去・抑制する:
    • 引火性液体を使用するプロセスエリアに設置されている電気設備は、熱源または着火源として作用することがないように適切に選定します。これには、照明機器、スイッチ、電源コンセント、電気モーター、電気パネル、データ処理装置、自動制御装置、計装機器、および電気通信システム等が含まれます。詳細については、NFPA 30(引火性・可燃性液体の取扱い規定)を参照してください。
    • 引火性液体の取扱いや移送作業で生じる静電気の蓄積を避けるため、ボンディングおよび接地によって、すべての機器・設備の電位を等しくする必要があります。静電気の蓄積によって、可燃性蒸気の発火または爆発が発生する恐れがあります。
    • 引火性・可燃性液体が存在するすべての場所において、喫煙を禁止し、火気使用作業は実施しないようにし、火花を生じない仕様の工具のみを使用するようにします。
  • 引火性液体が使用されている場所に可燃性蒸気が蓄積しないように、十分な換気を確保します。適切に設計および保守されたシステムであれば、可燃性蒸気は効果的に除去され、火災・爆発の危険性を大幅に削減することができます。自然発火の可能性を減らすために、ダクトおよびフィルターの清掃を定期的に実施します。混合用のタンク・容器、浸漬用コンテナなど、引火性液体を取り扱うプロセス装置で発生する可燃性蒸気を排出するために、局所排気装置を設置します。換気設備の排出口は、建物の外の安全な場所に設置します。
  • プロセス装置および容器は、液体や蒸気の漏洩を防止する、または液体や蒸気の漏洩が発生してもその流出量を最小限にするように設計されている必要があります。一般的に、引火性液体を含むシステムおよびプロセスでは、流体が完全に封じ込められた系に維持される設計とします。機器および配管の材質には、プロセスに用いられる流体・物質に適応するだけでなく、耐火性や機械的損傷への耐性のあるものを使用するようにします。プラスチックまたはその他可燃性材料は使用しないようにします。
  • 火災や爆発の際に引火性液体の流送を止めるため、配管系には緊急遮断弁を設置します。タンクの送出ライン、ポンプ上流に設置されている大容量混合タンク底部の配管、引火性液体を使用する場所、そして引火性液体が使用される建物・区画への導入部などに緊急遮断弁を設置するべきか検討します。
  • 引火性液体を使用するプロセスエリアおよび作業エリアに可燃物を保管および集積することを厳禁し、整理整頓について良好な状態を維持します。

火災・爆発リスクの拡大を抑制するための損失軽減対策

  • 引火性液体の使用を伴う作業は、不燃性の建物の中で行います。可能であれば、他のエリアから隔離された専用の場所で実施することがのぞまれます。専用の場所を確保することが難しい場合には、引火性液体を使用する作業とそれ以外の作業またはエリアを耐火壁などにより隔離します。
  • スプリンクラーや水噴霧消火設備などを設置します。プロセスエリアには、NFPAまたはそれと同等の基準に従って設計されたスプリンクラーや水噴霧消火設備などを設置します。施設に給水設備がない場合には、鉄筋コンクリート造の建物または耐火被覆された鉄骨造の建物の中で作業を実施するようにします。
  • 建物には排液設備が必要となることがあります。この排液設備によって、漏洩した引火性液体やその火災の影響をプロセスエリアから安全なエリアへ向けることができます。排液設備は、液体の漏洩が予想される最悪のケースに加えて、消火に必要な水量にも対応できるような設計である必要があります。

引火性液体を取り扱うときに、損害防止・軽減対策が適切に維持されていることを確認するために、適切な安全管理および緊急時対応プログラム、スタッフのトレーニングおよび監査を実施する必要があります。

  • プロセスの安全性を確保し保護するためのシステムや装置については、製造業者のガイドライン・マニュアルに従って保守点検およびテストを実施します。
  • 定期検査を実施し、液体移送システムの運転状況をチェックします。特に、ホース・配管とその接続箇所には細心の注意を払う必要があります。
  • プロセス安全管理(Process Safety ManagementPSM)の要素を、規制要件がない場合であっても、基本的なレベルで実施する必要があります。主要なプログラムには、次のようなものがあります: 
    • 変更管理
    • ハザード分析/レビュー
    • プロセス安全情報
    • 定期的なオペレータートレーニング
    • インシデント調査(ヒヤリハット)
  • 引火性液体の流出および引火を含む事象に対処するための具体的な緊急時対応手順を策定する必要があります。対応手順では、少なくとも次の項目が考慮される必要があります。
    • 消防署への緊急通報手順
    • 工場・施設における緊急時対応組織の活動
    • プロセスエリアへの引火性液体流出の遮断
    • 運転中の装置および建物レイアウトを考慮した消火方法の早期特定
    • 緊急事態のあらゆる側面に対応できるように定期的な訓練を実施

 

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