消防設備・システムの点検、試験 およびメンテナンス

消防設備・システムの運転準備は完了していますか?火災発生の緊急時に必要な場合に備えて、消防設備・システムの準備を確実にする最善の方法は、適切な点検・試験・メンテナンス(ITM)のプログラムを確立しておくことです。本記事では、各種消防システムおよび装置の適切な保守点検および試験、ならびに推奨される実施頻度と定期点検項目の重要性について概説します。

背景

スプリンクラーのような消防設備は、建物火災に対して、非常に効果的で信頼性の高い消防・防災システムです。ただし、火災を確実に制御・抑制するためには、消防システムを高い信頼性のもと適切に維持し、常に利用できる状態にある必要があります。

2017年のNFPA報告書「U.S. Experience with Sprinklers(米国のスプリンクラーの実情)」によると、システムが作動する規模の火災が発生した際に、スプリンクラーの有効作動率は88%でした。しかし、その他のケースでは、火災をうまく制御することができないこともありました。

リスクの把握

2017年のNFPA報告書によると、火災を抑制できなかった事例として、スプリンクラーが効果的でなかったというよりもスプリンクラーの不良によるものが多かったと報告されています。

リスク管理

NFPA 25「Standard for the Inspection, Testing, and Maintenance of Water-Based Fire Protection Systems(水ベースの消防システムの点検、試験およびメンテナンスに関する規格)」に従って、適切な点検・試験・メンテナンス(ITM)のプログラムを策定・実施していれば、自動消火システムの故障や作動不良の可能性を低減することができます。

消防システムが停止状態や保守不全の状態にあると、システムが設置されていないことと同じ状態になり、火災を抑制することができずに損害が拡大するリスクが高まります。適切かつ堅牢なITMプログラムを導入することで、火災発生の緊急時という最も必要なときに、貴施設の消防設備・システムが設計どおりに確実に作動することになるでしょう。

損害防止のための考慮事項: 

  • 消防水利: 消火ポンプおよびその貯水槽は、水ベースの消防システムの「心臓部」と通常は考えられています。消火ポンプのスイッチを停止する、または手動モードのままにしてしまうと、給水がされなくなり、施設全体が防護されていない状態になるおそれがあります。
  • バルブ類(弁類): 制御弁は、水ベースの消防システムの主要構成要素であり、点検、操作、メンテナンスを適切に行う必要があります。バルブが一部閉じていると、スプリンクラー・システムが有効に作動しない場合があります。誤ってバルブを閉じてしまうと、建物が防護されないままになるおそれがあります。
  • スプリンクラー設備: 火災の抑制に最も広く利用され、効果を発揮する消防設備が、スプリンクラーです。定期的に保守点検および試験を実施することで、火災発生の初期段階でシステムが確実かつ適切に作動します。

NFPA 25規格は系統立った構成となっており、システムやシステム構成部品のタイプ別に実施すべき点検、試験およびメンテナンスの項目と頻度が規定されています。この規格には、システム構成部品を調整、修理、再調整、または交換した場合に、実施すべき処置が一覧で掲載されています。また、内部配管の状態、障害物の調査、停止管理に関する章も設けられています。

水ベースの消防システムおよびシステム構成部品に対してNFPA 25に規定されるITMの実施項目の要約一覧を示した資料をご覧ください。

Further Information

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Fire Sprinklers and Environmental Sustainability

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